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◆受講生 Fさん◆

 

第1回実技講習会

 

【山域・場所】北アルプス・栂池高原

【日程】2012年1月13日(金)~15日(日)

【目的】「雪崩に遭わないために」

【行動予定】

13日(金) 夜、各集合場所出発→深夜、宿舎到着

14日(土) 8:00朝食9:00講習→落倉自然園周辺で基礎訓練

宿舎に帰ってからコンパスの使い方について座学

15日(日) 6:15朝食7:00宿舎出発→7:30栂池高原スキー場ゴンドラ乗場→8:00ゴンドラ上部

9:00~13:30 早稲田小屋周辺にて雪崩講習

13:30~14:30 全員で栂池高原スキー場ゴンドラ下まで滑走

15:00 →各車にて帰京

【行動記録】

1/14(土) 天候:曇

・落倉荘前から落倉自然園までシール歩行。

・ビーコン、プローブ操作の説明を受け、2~3人/組に分かれて、ビーコン操作の反復練習を行う。

・昼食後、2班に分かれて、山行中の別パーティ雪崩遭遇者レスキューを想定して交互に捜索練習を行う。

・帰宿後、地図、コンパスの使用方法、埋没者の掘り出し(シャベリング)の座学。

1/15(日) 天候:曇のち雪

・栂池スキー場ゴンドラリフト降り場→早稲田小屋上部までシール登行。途中、ビーコンチェック方法、キックターン、ラッセル時の板の運び方、地形、雪の状態、過去の雪崩形跡の確認などの説明&指導を受ける。

・CT(シャベルコンプレッションテスト)の説明と各自実施。

・プローブのヒット感覚を実施。

・講師によるスキージャンプテスト実施。

行動食後、2班に分かれて鵯峰の中腹まで移動し、班ごとに抜き打ちにて雪崩遭難者捜索練習を行う。

・ゲレンデで滑走撮影を行う。

【感想】

・私はガイドツアー等でビーコン操作等の雪崩講習は受けたことがありましたが、滑走が中心なので簡単な説明なものしか受けておりませんでした。先シーズンに知人を雪崩で亡くしたこともあり、真剣に雪崩に対しての知識を学びたいという思いで参加致しました。

1日目のビーコン操作方法や機種によっての特徴等まだまだ勉強しなくてはいけないことが多いことや雪崩発生時の消失点の把握や残置物の重要性等を実感することができました。

CTでは新雪により弱層とはわかりにくかったですが、実際に人形を掘り出す作業を行うことで掘り出し作業の大変さや実際の近い現場(斜面)で迅速な対応をすることの難しさを痛感致しました。今後も継続的に雪崩講習等に参加しなくてはいけないことを認識致しました。

そして、実技講習目的でもある「雪崩に遭わないこと」が一番必要なので山の状況判断の大切さを実感。知識だけでなく経験が非常に重要なことを学ぶことができました。

今後の山行では自分の目で現場状況を確認し「リスクの軽減」を念頭に経験も積んでいきたいと思いました。

 

第2回実技講習会

 

【山域・場所】上越・かぐら

【日程】2012年2月3日(金)~5日(日)

【目的】「深雪訓練」

【行動予定】

3日(金) 夜、各集合場所出発→深夜、民宿ぎえもん到着

4日(土) 7:00準備をして朝食、 7:40宿舎出発→かぐらスキー場第1高速リフト上集合

9:00~15:00 2班にて実技講習

講習予定ルート

A かぐら第1高速リフト上~1984m~雁ヶ峰~スキー場

B かぐら第1高速リフト上~神楽ヶ峰~田代スキー場

講習概要

1.シールの着脱

2.ビーコンチェック

3.シール登行

4.ラッセル

5.キックターン

6.スキーをはずしての登り

7.滑降技術 ①深雪

②悪雪ギルランデ

③タイトな斜面での横滑り

(木の葉落し)

④危険回避のための急停止

⑤雪崩判断

各班16時までに和田小屋に到着、18時夕食、22時消灯

5日(日) 7:00 朝食、8:00宿舎出発→第1高速リフト上集合 ゲレンデ深雪滑走

9:00~13:00実技講習(Bルートを予定)

14:00~下山後にまとめを行い、各車にて帰京

【行動記録】

2/4(土) 天候:曇のち雪

・かぐら第一高速リフト上部→第5リフト上部→神楽峰手前まで2班に分かれてシール登行。(シール着脱、ビーコンチェック、ラッセル?、キックターン)

・神楽峰手前でCT(シャベルコンプレッションテスト)を実施

・深雪滑走(視界不良の為、登行ルート→第5リフト下→ゲレンデ)

・ゲレンデ内滑走訓練(ギルランデ、横滑り、急停止)

2/5(日) 天候:晴のち曇

・かぐら第一高速リフト上部→第5リフト上部→中尾根まで2班に分かれてシール登行。(シール着脱、ビーコンチェック、ラッセル?、キックターン)

・中尾根手前でCT(シャベルコンプレッションテスト)を実施

・深雪滑走(中尾根→ゲレンデ)

・かぐら第一高速リフト上部→第5リフト中部までシール登行。(シール着脱、ラッセル?)

・深雪滑走(第5リフト中部から田代スキー場側へ滑走)

【感想】

・今回の深雪訓練では、本格的になシール登行、深雪滑走の実施ということでスプリットボーダーがスキーヤーのペースに問題なくついていけるかが私のテーマでした。

1日目はスキーモードへの切替、シール着脱ではあまり時間もかけないように意識し実践も行うことができました。CTでは雪もある程度安定していました。深雪滑走では、視界不良は残念でしたがツリーランは非常に楽しめました。しかし、滑走ペースコントロールができずに少し暴走してしまい、ご迷惑をおかけ致しました。ゲレンデ内での滑走訓練はスノーボーダーの私にも応用ができ非常に勉強になりました。

2日目は、受講生中心に山行を行うことになりました。昨日の降雪状況でラッセルを覚悟しておりましたが、意外としまっていて気持ちよく登行ができました。例年よりも積雪が多く雪庇形状等を確認しながら、中尾根までたどり着くことができました。この日も登行時に前に行くことを意識し、スキーモードへの切替やシール着脱を素早く行うことを意識しました。CT結果はCTM(17)90cm。中尾根は非常に良い状況になっており、今シーズン一番の滑走をすることができました。また、別班のスキーカットによる雪崩もみることができ「学校」という中では問題ですが、自分には良い経験ができました。大きな事故にならず良かったです。「もう1本」のオーラがM橋講師に伝わったみたいで田代側への滑走も最高でした。満足の行く深雪滑走訓練ができました。しかし、グループでの滑走ペースを乱したり、中尾根でのドロップ地点への移動時に雪庇下の滑走など状況判断に問題があったことを講師に指摘され、良い条件下での自分コントロールの必要性を認識致しました。反省点もありましたが、スキーヤーのペースにもついていくことができ、非常に満足の行く実技講習となりました。

 

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第3回実技講習会

 

【山域・場所】信越・鍋倉山

【日程】2012年2月17日(金)~19日(日)

【目的】「雪洞の基礎、読図」

【行動予定】

2月17日 都内各地出発~豊田飯山IC~民宿「大手荘」で仮眠。

2月18日 8:00「大手荘」朝食、9:00出発~温井集落(除雪終点)~鍋倉小屋~黒倉山東側で雪洞掘削(泊)

2月19日 雪洞~鍋倉山~東尾根滑降~鍋倉小屋(卒業山行打ち合わせ)~林道ゲート~帰京

【行動記録】

2/18(土) 天気:曇のち雪

温井集落→鍋倉小屋→黒倉山中腹手前までシール登行

(シール着脱、ビーコンチェック、ラッセル、キックターン)

・雪洞掘削(泊)

※例年よりも積雪多く、雪状態も不安の為、雪洞掘削予定地点を変更

2/19(日) 天気:晴

・CT(シャベルコンプレッションテスト)を実施。【CTM(16)80㎝】

・雪洞泊地点→鍋倉小屋まで滑走。

・鍋倉小屋内で卒業山行の打つ合わせ。

・鍋倉小屋→温井集落まで滑走。

【感想】

・例年よりも多い積雪状況の中で豪雪地帯の鍋倉山で雪洞泊を行う山行。「大手荘」に向かう車中でも降雪が続き、明日のラッセルは厳しいことが予測できました。朝、温井集落に到着。シールを装着し登行開始。やはり例年よりも雪が多いということで、慎重に登行しなんとか鍋倉小屋へ到着。雪洞掘削予定地点を変更することになり変更地点を捜索中に表層雪崩が目の前で起こりました。破断音や表雪崩のスピードを目の当たりにすることができ、非常に良い経験ができました。雪洞を掘るのは、はじめての経験で非常に楽しみにしておりました。雪掘削洞地点の選別ポイント等を聞き、掘削をスタート。降雪状態が新雪の為、柔らかく削洞作業はおもったよりも楽でした。締まり雪の時の削洞作業の時は大変だと講師の方から教わりました。雪洞内は非常に快適で講師が用意していただいた「甘酒」「石狩鍋」は本当においしかったです。2日目は、朝一にCT(シャベルコンプレッションテスト)を行い、シール登行せずに鍋倉小屋に戻ることになりました。鍋倉山は滑走(歩行)が多くスノーボーダーには厳しい状況でした。スキーモードでの滑走練習等の必要性を認識しました。スキーヤーのペースについて行くことが目標の1つなので今回の山行では課題をみつけることができました。

後、今回の実技講習で感じたことがあります。

2日目のスケジュールで登行せずに鍋倉小屋へ戻り打ち合わせを行った行動結果についてですが、先日の表層雪崩の件での「リスク軽減」の為の行動だと思いますが、降雪状況やCT結果を含めても私は滑走可能ではないのかと疑問に思いました。自分は「山スキー学校」で自立したスキーヤーを目指し、リスク軽減の様々な方法や経験を積みたいと思い参加しました。しかし、説明はありましたが、あまりにも簡単な「戻る」というリスク回避方法だったのではないのかと思いました。人それぞれの感覚があると思いますが、山スキーを楽しむことは危険との境目の見極めなのではないのでしょうか?経験値豊富な講師の方たちも多く、あのコンディションでのリスク回避の登行や滑走方法等をもっと学びたかったと思いました。今回の山行目的は「雪洞削洞」でしたが、あくまでも「山スキー」を学びたかったです。