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◆受講生 Gさん◆

 

  1. 【第1回 雪崩に遭わないために講習】

 

日時:平成24年1月13~15日

場所:栂池高原

急用のため開校式に出席できず、今回の実技講習が初めての参加となりました。山スキー道具は何一つ持っていなかったため、知人に聞いたりしながら、自分で揃えておきました。この初期投資が思わぬ高額でびっくり。そして、後々に、開校式に出席しておけばよかったとしみじみ後悔することにつながるのでした。

講習前日の夜は、何とか集合場所で拾っていただき、宿泊先まで連れて行って頂きました。講師の方、生徒の方とはほぼここで初めてご挨拶させていただきました。生徒が全部で11人と、想像していたよりこじんまりとしていてちょっと助かりました。

翌日の講習は、宿の向かいにある落倉自然園で行うため、宿の前でスキーにシールを貼ることから始まりました。シールを貼るのも、スキーで歩くのもこれが初めてで、講師の方に何かと面倒を見ていただきました。講師の人数に余裕があり、大変ありがたかったです。本当は予習してくるべきでしたね、すみません。

自然園では、ビーコンとプローブでの遭難者捜索を習いました。二人ひと組になり、ひとつのビーコンを雪の中に隠して探すことを何度も繰り返し、少しずつ慣れていきました。

私のビーコンは知人から借りたもので、シングルアンテナとのこと。初心者の私ではビーコンの捜索が難しく、結局、講師の方の3本アンテナビーコンをお借りしました。講習後、3本アンテナビーコンを買うことにしました。

プローブも、開校式での説明では3mを推奨していたようで、私が購入したプローブ(2m60cm)では、実際の捜索では少し短いようでした。

スコップも、私はカーボンの軽いものを購入しましたが、どうやらこれも実用面を考えると、もっとがっちりした作りが適当なようでした。持っていった道具がどれもいまひとつで、道具選びは難しいと実感。

その後の講習ではグループでの捜索方法を教わり、グループ内の役割分担、状況の観察が大切なんだと感じました。

宿に戻ってからは、地図読み、遭難者を掘りだした後のケア方法を教わりました。

2日目は栂池高原スキー場の上部で雪の観察、コンプレッションテストの実習でした。実習場所まで移動しながら、雪崩斜面の観察や、通過する際の注意を教わりました。ここでもとにかく常に観察することが大切のようでした。

 コンプレッションテストは、スノーソーを使うと案外簡単にできました。しかし、テスト結果の判断はとても難しかった。何度も場数を踏むと見えてくるのかもしれません。第1回講習で、雪の状況の見方、臨場感あふれる捜索訓練を教わり、これから足を踏み入れる山スキーの世界に気持ちが引き締まる思いでした。

 

  1. 【第2回 深雪講習】

 

日時:平成24年2月3~5日

場所:かぐらみつまた

出発前に、慌てて磁北線を書き入れた地図を用意し、今回も集合場所で無事拾ってもらいました。講習にはいつも前泊が付けてあり、体力的に本当に助かります。

今回の講習は深雪滑走ということで、深雪をほとんど経験したことのない私には緊張する講習でした。前回の講習時に、とにかく転ばないこと、と教わっており、そのことだけに集中しようと思って臨みました。

スキー場の最上部のリフトを下りた地点でスキーにシールを貼り、登る準備を始めましたが、未だにシール貼り、ビンディングのセッティング変更、ブーツのモード変更にまごつき、みんなに全くついていけない状況です。それでも今日も講師の方々に暖かく見守られながら登行スタートしました。期待を裏切らない深雪でした。登るのが大変。途中でスキーの方向転換の練習をしたり、地図読みをしたりしながら登っていきました。雪に深く埋まったモミの木(?)の間を縫いながら、おとぎ話の中を歩いているような気持ちになりました。

この日は天候があまり良くなく、稜線手前まで登り、滑走斜面と同じ方角の斜面でCTを行いました。雪柱を作るのは何とかスムーズに出来ましたが、やはり今日も自分のチェック結果の判定の仕方がいまひとつつかめませんでした。場数場数、と自分に言い聞かせ、焦らず続けていこうと思います。

全員シールを外し、いよいよ滑走開始。みんな深雪には慣れているようで、躊躇なく滑っていきます。私も滑り始めてみると、びっくりするくらいのド後傾になり、あっという間にモモがパンパンになりました。それでも、フワフワの斜面を滑れたことに大感激しました。

翌日も同じルートを登り、隣の尾根を滑りました。この日は講師ではなく生徒が先頭になって歩きました。自分が先頭になった時の頼りなさといったらありませんでした。こうやって経験は積んでいくのですかね。

稜線上でCT、昨日よりは少し判断ができるような気がしました。そして、滑走。結構な深雪の結構な斜度を滑りました。案の定、転倒。もがき、立ちあがるまでには結構な体力を使いました。やはり転ばないに限る、と、講師の教えを実感しました。

今回は、シールを付けたり、剥がしたり、ビンディングの設定を変えたり、と山スキーの手間暇にも悩まされた講習でした。まごまごしていると、講師の方から、こうしてみたら?これ使ってみたら?といろいろアドバイス頂きまして、次回の講習までに何とか準備のスピードアップを図ろうと思いました。

 

  1. 【第3回 雪洞講習】

     

日時:平成24年2月17日~19日

場所:鍋倉山

ここのところ、日本海側は大雪。そんな中、いつもの集合場所でピックアップしてもらい、今日の宿を目指します。遠くまで運転してくださる講師の方には頭の下がる思いです。

高速を下りると猛烈に吹雪いてきました。前が見えず、道路かどうかもわからないほどで、明日の講習が心配になります。

宿に到着後、何人かで地図を突き合わせてルートの予習をしました。みんなでああだこうだと言い合っているだけで何となく楽しいものです。

翌朝、まだ雪はちらほらと降っていました。班ごとに食糧その他の分担が渡され、荷物満載のザックを背負うとずっしり重い。こんな荷物を担いでスキーで滑れるかなあ、とぼんやり考えました。

とりあえず行けるところまでということで、班ごとに出発。うっかりすると電線に触れてしまいそうなくらい雪が積もっていました。雪の状況により、予定していた黒倉山には登らず、下で雪洞を掘ることになりました。自然には逆らえません。

ということで、雪洞が掘れる場所を探しながら進んでいくと、サーっという音が聞こえ、2,30m先の斜面を雪煙が落ちていきました。表層雪崩とのことでした。落ちる速さがあっという間で、小規模とはいえ肉眼で見てしまい、とてもびっくりしました。自分の中の雪崩に対する警戒度が格段に上がりました。

雪洞を掘る場所は、木が生えている中の特に大きな木の周りになりました。

私の班の講師の方は、場所を決めるとどんどん掘っていきました。さすがに手慣れていらっしゃり、力強い。入口からひとしきり掘り進むと、今度は2人づつ中に入って掘り進め、外にいる人は、掘りだされる雪をシートに載せてどんどん捨てていきます。私も中に入って作業させてもらいましたが、頭を低くしながらの力仕事はなかなかキツく、たいして掘れてもいないくせに10分足らずで交代してしまいました。みんなでぐるぐる交代しながら、5人用の雪洞が2時間もしないうちに掘れてしまいました。

中に入ると、いつの間にか壁にたくさんの棚が掘ってありました。日が暮れると、講師がおもむろにろうそくを取り出し、棚に灯すと、雪洞がなんとも暖かいメルヘンな雰囲気になりました。そんな中、講師がご自慢の手料理を振舞ってくれました。どれもこれもおいしかった。雪洞なのに、スープパスタとチーズフォンデュだなんて、朝は炊き込みご飯だなんて、こんなにおしゃれな食事ができるとは思いもしませんでした。講師のみなさんって今までどれだけの経験を積んでこられたのか、思いを巡らし感心するばかりの雪洞訓練でした。

翌日は無理をせず、そのまま下山。どんな格好だっていい、と思い定めると、スキーもなんとか転ばずに滑り下りることができました。下山途中、横に見える尾根にカモシカが歩いた跡があり、歩いたそばから雪崩ているようでした。やはり今回の雪の状態は悪かったようでした。

それにしても、今回の講習では、厳しさだけでなく、遊び心も感じることができました。いい思い出とは、こうやって作っていくものなんですね。さあ、次はいよいよ卒業山行。

 

  1. 【第4回 卒業山行】

     

日時:平成24年3月23日~25日

場所:蓮華温泉

今回の講習は総まとめということで、計画書から自分たちで作り、山行中も講師は後から付いていくだけとのこと。第1回講習と同じ宿に前泊し、朝ごはんを頂いてから出発しました。ロープーウェイで自然園まで行き、そこから班ごとの行動が始まりました。ビーコンチェックなどをしながら、なんとなく林道ぞいを進んでいると、講師の方から「こっちじゃないんじゃないかな~」と、ささやく声が。ルートミスでした。もう一つの班は、右側の尾根を登っているところでした。私はそもそも地図を出しておらず、反省。何事も最初が肝心というのに。

早速、軌道修正をして再出発しました。よく見るとトレースもしっかりついているし、いくつかのグループも先行しています。そこからどんどん天狗原まで登っていきました。私以外の班のメンバーは体力旺盛。ついていけるかが今回の一番の心配でした。

高度が増すにつれ、風も強くなっていき、木のそばで休憩を取りました。そういえば、ロープーウェイを下りたところで、係の人が雷鳥保護のために木のそばにはあまり近づかないように説明していたな、と思い出しました。雷鳥の数はどんどん減っているのですね。これからは環境にインパクトを与えないよう自分の行動には注意を払っていかないと。

振子沢に入るところでCTを行うと、降り続く雪で少々不安定になっている模様です。雪崩やすい斜面を避けて下って行きました。今期はもう出会うことができないと思っていた深雪に、ごろごろ転びながら楽しく滑っていきました。

翌日は更に雪が積もっていました。今日は講師の方がルート判断をしていきました。これだけの積雪はどうやら学校としても非常事態の様子です。私は今日もみなさんに付いていくことに集中。時たま先頭にしてもらい、下りラッセルを体験させてもらいました。ラッセルは大変です。疲れる前にどんどん交代して、と講師の方から声を掛けられたので、どんどん交代させて頂きました。

更にルートを進んでいくと、そのうち2班合同になりました。その途中で私は転んでしまい、気がつくと最後尾になっていました。これでもう一回転ぶとみんなからはぐれてしまうな、と淡い不安を抱いた瞬間がありました。幸いにもすぐに講師の方に気付いてもらえ、前に入れて頂けましたが、こういう場合はちゃんと自分でアピールするべきだったと反省しました。その後、班行動が復活し、私は転んで転んで転びまくり、最後は班のみなさんに助け起こされながら、なんとかゴールまでたどりつけました。

気力体力全部使い果たしました。最後までなんとか頑張れてよかったです。全講習を終えてもまったくもって未熟な私ですが、今回の達成感を糧に、これからもがんばって続けていこうと思いました。生徒のみなさん、講師のみなさんありがとうございました。