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◆◆第四回実技講習◆◆
【山域・場所】 北アルプス・蓮華温泉 【日程】 2009年3月27日(金)夜~29日(日) 【目的】 卒業山行
受講生8
■27日(金) 各集合場所を出発、深夜白馬村落倉荘着。寝袋で就寝。
28日(土)起床6:30、食事7:00~落倉荘発8:05→栂池ロープウェイ8:20~8:55→成城小屋 9:40→天狗原・祠11:23~食事、コンプレッションテスト11:32~12:13→振子沢→小栂平付近14:23→蓮華温泉(1417m)着15:23
落倉荘発8:05。車で栂池ロープウェイ乗り場へ。ロープウェイを降りるとすぐ総体協の男性より雷鳥保護、トイレ問題、禁止区域についてレクチャーがあった。建物の中でスキーにシールを貼り外へ出る。9:18S藤リーダーのビーコンチェックの後、登高を開始。踏み替えターンを繰り返して天狗原を目指して進む。白馬乗鞍の斜面にはスキーヤーやボーダーが蟻のように点々と見える。すでに滑降を始めたスキーヤーのシュプールがまっすぐで、雪の状態が重く悪そうだ。稜線を乗っ越し、天狗原の祠の前で一休みしてから北西方向の蓮華温泉へと向かう。少し下がったヘリポート近く、振子沢手前でシャベルコンプレッションテストをする。プローブは95cm部分で硬い氷に当たり止まる。CTは各々M16、M20、中間のモデラートで行動判断は「吹き溜まりや急傾斜地は要注意」。上部5~6cmが新雪か。今日は時折細かい雪が舞うがまあまあの天候だ。 シールをはずしていよいよ振子沢に入る。B班は先頭を切っての滑降だ。振子沢のコースはダケカンバや栂などの樹林帯で、途中で斜面も急になる。M田さんが豪快に滑っていく。S藤さんも余裕たっぷり、Y口さんは堅実な滑りで降りていく。Y’嶋さんも転倒するも頑張っている。私は危ないと感じたらすぐに座りこんでこけまくりながら滑り降りる。荷物を背負っているので転ぶとダメージが大きい。沢はだんだん狭くなり、S藤さん、M田さんが先行してルートファインデイングとラッセル。私はブッシュにスキーを引っかけてスキーの先が雪に刺さり、つい素手になり、エッジで指の内側(2本)を切り、H谷講師の応急手当を受ける。 深雪、悪雪で先頭のラッセルも半端ではなく、2:00頃、M尾代表の「班編成解除」の無線が入り、ラッセル要員を総動員する。沢が入り組んでいるので慎重なルートファインデイングが必要と思われたが、要所に「レンゲ温泉」と書かれたピンクの標識や赤布が見られた。雪崩が心配される斜面、4ヶ所をトラバースする時は1人ずつ慎重に進む。1600m付近に目印の標識があり、左にトラバースする。さらに下り、中の沢を過ぎ尾根を回り込み、乗鞍沢の橋に出る。ほっとしているとM尾代表から「川に落ちないように注意して滑って」。ここから少し登ってようやく蓮華温泉に着いた。カメラを構えたS藤さんに迎えられ、みな満足そうな笑顔を向ける。蓮華温泉まで通常1時間40分~2時間30分だそうだが、今回は3時間10分。深雪で大変なアルバイトであった。 すぐに露天風呂に向かう人、温泉に入る人、飲み始める人などさまざまだが、みなてきぱきとシールや靴、衣類を乾燥すべく行動。18時に夕食。夕食後、各班のリーダーが話し合い、明日は予定を変更して栂池に戻ることとなった。Y嶋さんが用意してくれた「手作り別途おかず」を肴に講師の部屋で会話が弾む。
■29日(日)食事6:00→蓮華温泉ロッジ発7:07→木地屋方面分岐7:24→天狗原・祠11:20~45(集合写真)→成城大小屋上部(コンプレッションテスト)12:20~40→カフェテリア栂のM13:04→栂池高原13:45→白馬大池駅でミーテイング後解散
朝起きると晴れ。昨晩から8㎝ほどの新雪。6時に朝食をとり、S藤リーダーのビーコンチェックの後、7時過ぎに蓮華温泉を出発。細かく降る雪が太陽に当たってダイヤモンドダストが美しい。栂やダケカンバに雪が積もってすばらしい雪景色だ。今日は木地屋までの予定であったが重い深雪でラッセルが予想され、栂池に戻ることになった。すでに滑ったルートということもあり、安心感がある。斜面の登高でクライミングサポート(カカトを高くする)を使い始める。M田さん、S藤さんが先行してラッセル作業をする。雪崩の心配のある4ヶ所の斜面では一人一人慎重に通過する。途中でスノーブリッジがあり、崩壊をさけて一人ずつすばやく通過。昨日は気が付かなかったがうっかり転倒したら川に落下という危険箇所がいくつかあった。コースを読んで進み、11:20、いったん天狗原の祠の前に集合して記念写真を撮る。天狗原から成城大小屋へと滑る前にシャベルコンプレッションテストをする。CTM、M15とCTH、H26で概ね安定。 ワックスを塗っていよいよ滑降。なんとまあ、講師、受講生諸氏の上手なことか。M田さんの鮮やかなテレマークスキー、斜面を見上げるとS山講師が鮮やかなターンを決めて気持ちよさそうに滑ってくる。H谷講師、S藤さんはサポートに徹してくださり頭が下がる。私は足がこわばり転倒しっぱなしで、さんざんな滑りで成城大小屋上部に到着。栂池のバーンの滑降だけでは物足らないメンバーは車道を避けてまたもやバックカントリーコースへ。カフェテリア栂のM着13:00。小雪の降るゲレンデは人、人、人で別世界。圧雪されたゲレンデを滑り降りて駐車場に。車に分乗して白馬大池駅で反省会後解散。
今回の目的は「講習で学んだスキルを有効に使い、安全に目的地に到達すること」。 なにはともあれ、大きな事故もなく無事に終了。お疲れさまでした。 S山講師、H谷講師、講師のみなさま方、大変お世話になりました。
最後に… 自立した山スキーヤーになるためにはタフでなければならないと今回実感した。山スキーは通常の山行以外に2,5Kg~3Kgほどの装備(ビーコン、スコップ、スノーソー、プローブ、スキーシール、ツェルト、補助ロープ&カラビナなど)を携行しなければならない。荷物を背負うと転んだ時のダメージが大きく、登高の踏み替えターンでさえ慎重になる。いかに転ばず、安全に滑り降りるかが第一に優先される。個人的に今回持参の160cmのTRABの硬いスキーが重く深い雪に潜んだままなかなか雪の上に出てこず、時には深雪に付き刺さってしまい、雪の怖さを十分思い知らされた。3年前の4月の蓮華温泉は140cmの先の丸いショートカービングを使用、雪質も良かった。今回は今年購入した150cmのファットを持参すべきだったと猛反省。「「ぜったいに転倒しないという強い滑りを心がけることが大切。新雪や深雪では、スキーを揃えて滑るのがもっとも有効。2本のスキーを一枚の板のようにすることで、浮力、バランスを確保できる」とか。今後の課題だ。 知識と経験の豊富な講師陣に助けられて、なんとか戻ってくることができて感謝するのみ。H谷講師には幾度、助け起こしていただいたことか。深謝。
受講生10
昨年(07-08)、山スキーを始めようと道具を一式購入したのはよいけれど、参加した講習は悪天候等のため、とても満足のいくものではなく不完全燃焼で「あっ」という間にシーズン終了! このままでは、せっかく揃えた道具が無駄になると思い、今シーズンこそは、山スキーの基礎を身に付けたいと、インターネットで検索中に見つけてしまった「東京山スキー学校」。 その中にある卒業生の感想文を読んで、学習内容と楽しそうな雰囲気が充分伝わってきた。まさしく、私の望んでいたスキルと仲間作りの場がそこにはあるような感じがした。早々、参加申込みをメールでM尾さんに確認・・・・「私は山岳会に加入していません・・・スキーも数十年ぶりで・・・山スキーは初心者です。それでも参加できますか?」と、答えはOKだった。 それならば「さぁ、やるぞ!」と気合を入れ、さっそく、昨年揃えたスキー道具を出してみた。部屋中に散乱したスキー道具を眺めながら、まずは安全を祈願してビールで乾杯!その次は、「よき天候であるように」と焼酎で乾杯!これで、準備万端あとは実行のみとばかりに、その夜は、ニヤニヤしながら道具を手にしていたらチョット飲み過ぎてしまった。
この学校のカリキュラムは、長期間に渡る。 ガイダンス&座学1 (講師紹介 心構え 用具の基礎 冬山気象の基礎等) 座学2 雪崩の基礎知識 実技1 雪崩に遭遇しないために (レスキュー 地形判断 安定度評価等) 実技2 山スキーの基礎 (歩き方・登り方 滑走技術 読図等) 実技3 ビバーク技術 (雪洞ビバークについての装備 雪洞作成等) 実技4 総合実践山行 (山行計画の立て方 行動判断等) 卒業式 ※ 参加生徒19名に、講師陣12名(雪崩 座学:K嶋氏 実技:S井氏を含む) ※ 実技は1泊2日×4回 座学は2回 実際に参加して思ったのは、受講して行く中、妙な?連帯感(仲間意識)が生まれてくるのを感じた。単発の講習やツアーでは味わえない体験だった。また、講習内容も全てが実践的で納得がいくまで教えてもらえるし、実技訓練後の夜の部(懇親会)では多くの事を確認と復習できてうれしく思えた。 最後の蓮華温泉卒業山行は、チームごとに受講生らがプランを作り、そして協力し合い実行して行く。講師は、しっかりとサポートしてくれるので間違っても安心!折角だから失敗を恐れずに、自分たちの思いどおりに実行して行った方がよい。 今回、リーダー役を経験させて頂いて、いろんな気付きが得られました。実は蓮華温泉の夜、お開きの後で、有志のリーダーやサブリーダーがコッソリ集まりその日の反省会をしました。皆が熱く語り合い、皆の考えを共有できたこともまた青春だなぁ・・・ということで、酒を飲みすぎたのは言うまでもありません!翌日のH田氏の顔が青く思えたのは私の気のせいでしょうか?でも、M田氏も頭が痛いようなことを言っていたようですが、仙気の湯での湯あたり(実は冷え)でしょうか?何と、時間も4時を回り風も冷たく、振り回したタオルが凍りつくのですから尋常ではありません。
山スキーを楽しむには、いろいろな要素が必要になることを痛感。スキー技術もさる事ながら、冬山登山の要素もあり、読図&GPSの知識や無線の使い方、ロープワーク、ビーコン操作&レスキューの仕方、ルートファインディング、気象の読み方、そして仲間の重要性(大切さ)など。そういえば、日本勤労者山岳連盟事務所の入校初日、早めに到着しすぎて準備をしていた講師の方に挨拶をし、生のM尾さんを確認(うんっ、イメージどおりの人だな)。話をしているうちに、事務所を案内してもらうことになった!2階3階を案内して頂きフリークライミングボードや書籍室あるのにはびっくり!事務所を見たところで書類の山になっているテーブルで、「これが山で亡くなった人の書類だ・・・遊びで入ったら必ず帰ってこなきゃな!」と言っていたのを思い出します。 「安全に楽しく行動する為に、この学校があるのかな?」 また、卒業後も皆さんと共に楽しめたらと思います。講師の皆さん、受講生の皆さんありがとうございました。
受講生11
総合滑走実技は、栂池スキー場から天狗原へ登り、振り子沢を下って蓮華温泉に宿泊、翌日は木地屋部落まで下るルートを各班ごとに計画、実行するものだったが、残念ながら二日目は湿雪に阻まれ再び天狗原に上り返し栂池スキー場で終了となった。 3月終盤になって大量に降った湿雪が、初級者の私たちに下りラッセルという思わぬ体験をさせてくれた。先頭でラッセルをした班は大変な重労働とルート取りの大切さを学んだ事だろう・・・(と書くと、私たちD班が後からトレースを滑って追いついた事がバレバレになるのですが・・・) 出発点のロープゥエイ駅を出ると、我々D班は通常のルートを行かず隣の枝尾根をラッセルで登った。この出だしから担当のT講師やMアシスタントをやきもきさせたようだ。実質「卒業山行」である総合滑走では、担当講師はよほどの事が無いと口は出さない決まりとかで、自主性の尊重と危険度の判断に迷うところだろうと思う。 不運にもD班に配属されたMさんは、シールを忘れロープをスキー板に巻いた簡易シールであるから、どうも心中半泣きであったようだ。しかし我がD班のトップは元気いっぱいの現役大学生O君なので、自分で研究したルートを試すべく前進あるのみである。幸い山スキー経験者ばかりであった事と快晴の碧い空が味方してくれたが、TYG全体の最後尾になり前の班の行動に30分は遅れた。TYG全体の山行としての意識が無く、D班として少々ロスタイムがあっても15時までに到着すればよいだろうと考えていたのが甘かったか。 振り子沢上部でピットを掘って積雪のチェックをした。ここで大切な事を学んだ。チェックの結果判断は、GOである。しかしT講師の判断材料は別の所にあった。この大量の重い湿雪をルートを探りながら下りラッセルして、何時に蓮華温泉に到着できるのかという事。しかも初級者ばかりの大所帯である。すでに他のABC班は先行しており私達ばかりがもたもたしてはいられない。頑張ろう!と滑り出したが・・・ナンなんだ、この深雪は!ちっとも浮かないし板が雪にくいこんで回らない。重たい雪にフーフー言いながら皆に追いつけたのは、ほとんど食べる時間をとらなかったのとボブスレーコースのようなトレースができていたお陰だったと思う。 D班として先頭のラッセルには参加できなかったが、後からきた他パーティのラッセル交代もあり、蓮華温泉には明るい内に無事着く事ができた。温かい内湯にたっぷり浸かり、すぐに夕食。お腹いっぱいになった私は、ちょっと布団に入ったらあまりの気持ちよさにそのまま爆睡。夜中、屋根の雪が雪崩れる轟音に目が覚め、翌日の行動が思案された。 6期生は天気についている。翌朝は快晴だった。これで実技講習はすべて快晴。なんという強運!天狗原への上り返しも良いシール訓練になったし、朝日に輝く新雪の景色の中を登るのも嬉しかった。山スキーでは真摯で柔軟な考え方が必要だ。計画通りにいかなくてもより安全な方法を選択し、それはそれで心楽しませる術を身につけたい。 個人的に未熟な点も多くある。TYG2年生というのがあれば進級したいところだが、残念。 講師の皆様、有難うございました。すべての実技を楽しく経験できた事を感謝いたします。
受講生12
当日朝は曇りだが天気は回復傾向で、絶好のスキー日和と思い、ゴンドラに乗り込んだ。ロープウェイ降り場には続々とザックをしょったスキーヤーが集まりシールを装着して出かけて行く。すでにはっきりとしたトレースはつけられており何も迷うことなく登っていった。途中、シールが剥がれた人がいて応急処置をしたり、小刻みに休んだりしていったものの、2時間もかからないうちに天狗原に到着。振り子沢降り口でCTをおこなったが60センチ程度積もっている新雪は比較的安定しており、滑走に問題はないと判断、沢を降りて行った。 ここからが大変、スキーがまったく滑らない重い雪で、緩斜面になると進まず、潜ってしまう、経験したことの無い雪だった。あれだけたくさんスキーヤーがいたのに蓮華温泉方面に向かっているのは私達だけで、先頭は過酷なラッセルとなった(といってもA班は3番手、4番手で行っていたのでラッセルの苦労は知らない)。この時、講師達が引き返すことも検討しているとはまったく知る由も無く、何とかついていくだけだった。班のメンバーも途中でバタバタと倒れ、倒れるとなかなか起き上がれず、班の隊列は伸びてしまった。予定時刻を大幅にオーバーして蓮華温泉に到着。 翌日は、ラッセルに時間がかかり十分な安全が見込めないという判断から計画していた木地屋には向かわず、全員で往路を戻ることになった。昨日から更に新雪が積もっており一部ラッセルも交えながら進むが特に問題も無く天狗原に到着、再び重い雪を滑ってスキー場に到着。 (感想) 山スキーはスキーの延長というよりは冬山山行の一形態と考えておくべきであり、気象・雪質に対する知識、ルートファンディング能力、トラブル対応など相当のレベルでなければ対処出来ない。単独は危険だし、グループで行動する場合も自覚を持って(他人任せにしないで)判断して行く癖をつけないと上達しない。 一方でスキーの技術も必要。ゲレンデで適当に滑るのではなく、きっちりと基本を確認しておくべきで、その上で経験を積むしかないか。 読図と地形判断の知識も通常登山以上に必要。当たり前だがルートがあるわけではないので基本的なことが重要になるが、これはまだ出来ていない。気象の急激な変化も考えるとGPSが使用できることも必須かもしれない。 パーティで行動する場合はなるべく一緒に行動する。転倒したり、遅れたりする人がいて、隊列が伸びてしまったこと、雪崩の危険地帯の安全確認を十分できなかったことなどが反省点。 今回は往路を戻る選択をしたが、そのまま計画通り木地屋に向かっていたとしてもなんとか行けたと思われる(後で出発した別パーティは無事木地屋に到着している)。ここで重要なのは行けたかどうかよりもこうした状況できちんと考えているかということだが、こうしたケースに遭遇したことは、ある意味恵まれていたかもしれない。 やはり大自然のなかで、スキーという機動力(+楽しさ)を使っての行動は非常に楽しい。山スキーの素晴らしさを再確認させてくれた講習だった。危険を回避しつつどうやって楽しむかは自分次第というまさに「大人の遊び」をこれからも続けて行きたい。同じ趣味を持った多くの方々と知り合えて楽しく過ごすことができたのも収穫だった。こうした機会を提供してくれた講師の皆様には感謝したい。ありがとうございました。
受講生13
コースタイム 3月28日(土) 栂池高原8:20―(ゴンドラ)―栂のM8:40/8:50―(ロープウェー)―栂池自然園9:00/9:20――1970m地点・CT実施 9:40/10:05――天狗原(お宮)11:20/11:30――振子沢下降点11:45/12:10――トラバース開始点13:45/13:50――蓮華温泉15:40(泊)
3月29日(日) 蓮華温泉7:10――橋(1510m)7:30/10:05――1855m地点9:15/9:35――2115m峰10:40/10:50――天狗原11:20/11:45――2200m地点・CT実施 11:50/12:15――成城大小屋12:35――栂池高原13:40/14:00――白馬大池駅14:15/14:25
第1日。栂池自然園に着き、早速シールを装着し出発したときは、曇天の空模様だったが、天狗原に向け山スキーで登高中に強い日差しの好天気になる。途中の斜面でCT(コンプレッション・テスト)を実施。結果は、CTE-5、5㎝の層で崩壊が生じ、積雪状況は非常に良くないとの結果であった。危険箇所は慎重に通過するとの認識の下、行動することにした。天狗原のお宮でシールを外し、天狗原の平坦部を真っすぐ振子沢下降点に向かう。途中で乗鞍白馬岳東斜面をスキーヤーがシュプールを描き滑降するのが目に入る。休憩後、C班が先頭で振子沢を滑降するが、雪が重く、スキー板が30cm以上も雪に潜り、スキー板が滑らない状況であった。私自身はスキーの滑降技術が未熟のためうまく滑降できず平坦部になる前で、スキー板が深雪にとられ転倒し、起き上がるのに深雪と孤軍奮闘しなければならなかった。C班のM講師は、雪の状態が悪いので天狗原に登り返そうとの見解を述べられた。C班が先頭で蓮華温泉へのルートをメンバーが交替してラッセルをして拓き、歩を進めた。距離を稼ぐのに相当の時間の掛かり、先が思い知らされた。そのうち他の班も加わり、強健な男たちが替わり替わりラッセルをしてルートを拓いた。急斜面をトラバースするときは、一人ずつ間隔を空け通過した。思いのほか時間が掛かり、やっとの思いで林道の橋に着いたときはホッとした。更に乗鞍沢の橋を通り今宵の宿である蓮華温泉に午後4時前に着いた。宿の夕食後、講師と各班のリーダで明日の行動について話し合いが行われた。その結果は、予定では第2日は、蓮華温泉からヤッホー平、角小屋峠、白池を経て木地屋に達するルートであったが、木地屋までの距離が長くラッセルしたルートがないことから予定の木地屋到着時刻には到底着かないこと等の理由から、昨日のルートを天狗原まで戻ることになった。山スキー熟達者だけのメンバーであれば予定のコースを完遂することは十分可能であると思われるが、第6期生18人のメンバーのスキー滑降レベルも様々であることを考慮すれば、適切な判断であると思われた。 第2日の朝は、シールを装着し小雪の舞う中、蓮華温泉を後にし、昨日の乗鞍沢の先の小沢の橋に向かった。昨日のスキーラッセルよりはシールを着けての登高の方が楽のように思われた。天狗原まで約700mの登り返し登高である。天気は次第に良くなった。振子沢の途中で、昨日のルートを取らずに天狗原からフスブリ山に連なる尾根に出て、天狗原に至った。時間は予定の4時間を要した。天狗原の中央において全員で記念撮影をし、天狗原から成城大小屋に向けて滑降する前に、CTを実施した。結果は、昨日実施した結果とほぼ同じもので、危険箇所は慎重に滑走する必要があることを示した。雪の状態は、昨日より若干良いように思えた。成城大小屋前で休憩後、私は、沢の狭いコースを通らず林道コースを滑りスキー場上部に出て、スキー場内を今回のスキー学校の講師から学んだスキー滑走技術の基本を確認しながらみんなの待つスキー場下端に滑り下りた。
今回のスキー学校への参加の大きな動機は、雪山における山スキーの利用を再確認し、有効な手段としたいとの願望であった。このスキー学校で学んだ最も大きな収穫は、雪山における山スキーの利用が、機動性を飛躍的に拡大させる点を再確認できたことです。今後はスキーの滑走技術を磨き、更にレベルアップを図り、雪山登山における山スキー利用を積極的に行いたいと考えています。 最後になりますが、山スキー学校の素晴らしい講師陣にお会いでき、よきご指導をいただきありがとうございました。また多くの山スキー仲間に会え、今後の山スキーの楽しみの機会が広がることを切に期待しております。 |