第16期
女子だけで入った温泉も良い思い出です 印刷 Eメール

◆講習生 1

 

【きっかけ】

きっかけは数年前、山スキーのなんたるかも知らない私が雪山の山頂で休憩をとって居た時。5人ほどの外国勢グループが山スキーを背負ってやってきました。海外から来たであろう彼らは楽しそうに談話しながら何やら英語でもなく、フランス語でもなく。手慣れた感じのプロっぽい集団は準備を整え、歓声と共にカウントダウンしながらひとりずつそこから滑走し始めました。え!!こんな所からスキーでおりちゃうの⁇と呆然とその成り行きを見ておりました。帰りの尾根から見えた彼らのシュプールは青い空と、稜線全部と渾然一体となり美しすぎてもう、なんてカッコいいんだろうと憧れてしまったところから「山スキーって何だろう」が始まりました。その後なんとか独力で装備を揃え、スキーのツアーにも参加したものの、やはり基礎に不安を感じていた時にこの山スキー学校に出逢う事ができたというところから始まりました。

 

【装備と費用】

山スキー学校は12月の座学から始まりました。私はとりあえずのセットはそろえていましたがまだ揃えていない人も最初に講師個人の装備を実際見せて頂けて、絶対必要なもの、あった方が良いもの、便利なものを教えて貰えたのは参考になると思います。提携ショップとの割引券まで頂けたのは助かりました。費用については装備に20~30万円は覚悟しておいた方が良いと思います。

 

【山スキー学校に期待した事と実際】

16期は初心者が多く、私も1年目に自分でツアーに参加した程度でほぼゲレンデのみの経験。実習1日目で分かりましたが、山スキーの滑り方は教えて貰えないこと。キックターンや歩き方などの細かな技術については2回目のかぐらで 教えてもらえます。受講生一人一人のレベルが違うので断言は難しいですが基本的にスキーはある程度出来ていないと講師や他の生徒の皆さんに迷惑を掛けるだけでなく、怪我やツアーの計画にも誤差を生じさせてしまうリスクがあります。可能な限り個人的な練習はしておいた方が良いなと思いました。特に実習1日目は天候や雪の状態が悪いと這々の体で降りる事になりこんなハズじゃ無かったのに。と半ばトラウマになるかもしれません。実習1日目に自分に何が必要か、気がつくと思います。他については割と初歩の初歩から教えて頂けたと思います。

 

【座学と実習】

●座学実習が始まる前に、必要な基礎知識を習得させていただけて良かったです。冬山の気象 、雪崩の基礎知識、CT、地図読みについて実践に備えて受講することで無駄なく実習時の理解を深める事ができました。学校を終えた今だからこそ、どの知識も本当に必要で今後も更新しなくてはならない基礎勉強でした。

 

●実習① 谷川岳 雪崩訓練

16期で初めて他の山岳会と連携して行われた雪崩訓練でした。実習が主体でビーコン操作、弱層テスト、雪崩レスキュー、ビーコンの使い方について細かな指導もあり自分がやりがちなミスや落としがちな工程も指摘してもらえました。雪崩レスキューは実際の雪崩救助を想定して行われ、汗をかきながらシャベルで遭難者を掘り当てる作業は大変良い経験でした。生徒が講師と共に初めてスキーを共にする日でした。谷川岳スキー場はその日深雪ですでに荒れていたのもあり生徒は転ぶわ、起きられないわ、中には時間内にスキーで下山出来ずリフトで降りる生徒もあり、講師から「16期生の皆さんスキー鍛錬各自(下手だから)怠らぬように」と注意をうけた事が逆にこれから実習の心構えが出来ました笑。

 

●実習② かぐら峰 和田小屋

16期生にとっては良くも悪くも、山スキーの概念を変えた一日であったと思います。詳細は割愛させていただきますが今回の悪天候の中の怪我人の救助と、OBの遭難(訓練ではなく本当に)が同じエリアで同時に発生した事で山スキーというスポーツがいかに天候やコンディションに左右されるもの、熟達者であっても小さな気づきを見落とすことで生命を左右する事態を引き起こしかねないリスクを伴ったものであるかを、身を持って学ぶことができました。それでも緊急事態にもかかわらず、和田小屋のファーストトラックを経験出来、ゲレンデでの練習となりましたが講師の一人一人が任務を全うされ授業も行われ変え難い経験をさせていただいたと思います。

 

●実習③ 鍋倉山

雪洞訓練15キロ前後を背負ってシール歩行。我ながら自分の体力のなさを恨みながらも交代で巨大で美しいブナ林を全員で登り黒倉山まで到着雪洞設営地まで。天候にも恵まれ眺望も日本海まで望みつつ雪洞設営に3時間ほど。手慣れた講師陣の指導の元、万一雪洞設営することになった場合のヒントやコツ、テクニックを伝授いただいたと同時に、あっと言う間に過ぎる時間に要領よく快適な環境を作らなくてはいけないのだなと実感しました。講師陣が食材を用意して下さり、簡単にできるツマミを作り堪能しながらメイン料理を作るなど参考になることばかりで、今後のテント泊のスキーツアーにも活かすことができそうです。寒がりの私でも暖かく楽しい夜を過ごすことが出来ました。翌日楽しみにしていた鍋倉山もあっという間でした。

 

●実習④ 卒業山行

栂池自然園 ー天狗原ー蓮華温泉ー木地屋チームを2班に分けての卒業山行。講師の方々は一切口出しせず後ろからついてけるだけ。ルートファインディングや時間を自分達だけで管理するという総合実技。事前に都内で講師抜きにてミーティングを行うことでチームワークにまとまりが出来、当日体力のない私にも他の2人は付き合ってくれてとてもありがたかったです。振子沢でのCTはカリカリで強風の為カット。各所で行う地図読みやルートファインディングも視界が良くランドマークとなる山々を確認しながら無事に蓮華温泉までたどり着く事が出来ました。待望の蓮華温泉。女子だけで入った温泉も良い思い出です。翌日も雪崩が起こりそうな箇所は1人ずつ走行する、急登の角小屋までをジグをきりながら登るなどありましたが、とても楽しく終えることが出来ました。

 

【最後に】

本当に最後まで受講出来て良かったと言うのが一番です。山スキーがこんなにも怪我や遭難、雪崩のリスクを伴うものとは意識していませんでしたが、CT、地図読み、ルートファインディング、天気読み、山スキー学校を通して多くの事を勉強し、経験する事ができました。講師の皆様に対しても多くの事を 実技を通して教えて頂きご配慮等ありがとうございました。やっと山スキーの入り口に立つことが出来、何もかもこれから経験を積んでいく事になりますが講師の方々や、他の生徒の皆さんと今回ご一緒出来た事を感謝しています。何よりもひとりで悩んでいた中、山スキー学校を通じて皆さんと出会えて良かった。これからも各自が鍛錬を積んで、また新たな山スキーでご一緒していけたらと祈るばかりです。楽しかったです!また宜しくお願いします!

 
B講師が突然現れ,「こう掘るんですね~♪」と人間削岩機のように 印刷 Eメール

◆講習生2

 

地元の山岳会に入って6年半。岩も沢も雪山も所属している山岳会で教わり,それなりに自分でもリーダーで行くようになっていたが,山スキーだけは(ゲレスキは結構行くのに)会でもあまり盛んでなく,何となく登山とスキーは別物と感じていた。少なくとも厳冬期に谷川あたりで見る限り,重いスキーを担いで雪山に入るぐらいなら,ワカンやスノーシューでいいと,そんな風に割り切っていた。

そんな自分の考え方が打ち砕かれたのが,昨年5月に登った月山や鳥海山だ。下りは当然なのだが,登りに関してもジグを切って遠回りしているのに山スキーヤーの方が自分より早いのだ。ん?これはどうしてだ?納得いかん。

そんな思いを胸に「これは経験する価値があるかもしれない」とTYGに入学する腹を決めた。

数少ない会のTYG卒業生(12期)に道具をどうすれば良いか聞いてみたところ「最初に山スキーを持つならこれ」と言って紹介されたのがアルマダのTSTという板だった。それにビンディングはTLTで靴もそれにあわせて,ヘルメットも必須と…。この板はすでに現行モデルに無く,価格の事も相まって,中古で揃えることにした。幸いG3のONYXというTLTビンディング付の板を入手。靴も中古!で揃えたものの,さすがにシールはコールテックスのクラリーデンというアクリルベースの新品を仕入れた。

 

●2019年1月19日~20日

第1回実技講習「谷川岳スキー場脇の田尻尾根講習」

日本勤労者山岳連盟関東ブロック雪崩講習会に参加。自分は昨年度に同じ講習に参加しており2年連続の講習だ。ただ,昨年は登山靴,今年は板を履いての講習である。ゴンドラの後はリフトを1本登って雪崩講習の場所に移動するのだが,いきなり上手く板が履けない。ストッパーのついていないONYXビンディングは非常に履くのが難しい…。練習をしておくんだった。まさかこんなところに核心があるとは。積雪断面観察・弱層テスト(円柱テスト、シャベルコンプレッション)は(2年連続だし)難なく。しかしもう一度核心が襲う。田尻沢コースを降りろというのだ。え?このエッジが効かない太い板で…あの狭いところを…。ベースプラザに着く頃には汗だくになっていた。自分の同期はみんなスキー上手いなぁ。コソ練しても ついて行けるか怪しい。

 

●2019年2月16日~17日

第2回実技講習「かぐらスキー場での深雪講習」

今回が事実上のTYGだけの講習。とは言いながらもTYGの先輩卒業生さんたちも集結しているとのこと。まずは和田小屋に上がり,荷物をデポ。5ロマ奥のスキーエリア外でシール装着。気温も低く雪もふる中,ビーコンのグループチェックの後,にせ神楽方面に2班に分かれて登り始める。途中キックターンを初めて教わる。上手くできない。本当に太い板って扱いづらい。おまけにシールもはがれかかってきた。アクリルのシールは極低温化では粘着力が落ちるらしい。シールのせいなのか,自分の下手くそなキックターンのせいなのか…。ともかく何度もジグを切る練習。少し出来たか…。気が付くと一人。あれ?皆は…はるか上!てな具合。にせ神楽の少し先でシールを外し,雪が降りしきる中CTをし、雪見観察をする。そこにTYGのOB2人が現れて親しげに講師たちと会話していた。いよいよ滑降だ。A講師に続き同期の上手い人から下りていく。自分もおっかなびっくり斜面を下りる。すると一人転んでいる…なんとウチの会からの講習生だ。両足とも板が外れており,本人は起き上がれない。様子が変だ。(その時点では)両足とも痛みを訴えている。その場の講師と講習生で救援を試みる。B講師が担ぎあげ,荷物を皆で分散して滑降を試みるも,足元が良くなく断念。結局救助要請をする。スキー場まで滑れば10分とかからない距離だが場外は場外。救援はなかなか来てくれない。竪穴式に雪面を掘りこみ皆でしゃがみその上にツェルトを張って暖を取って凌ぐ。風雪は強まり,夕刻に近づき,まさかここで夜明かしになるのか…というタイミングでA講師がスキー場の救助隊2名を引き連れ戻ってきてくれた。救助隊とともに皆で和田小屋に戻り,モービル,ロープウェイとで下界の救急車まで運ばれた。和田小屋に戻るともう一つの事件が起きていた。CTの時にいたTYGのOB2人が和田小屋に戻ってきていないのだ。既に日没。B講師が救助要請をするが,翌朝まで何もできない。ビバークをして2人が無事でいてくれることを願いながら就寝。翌朝は講習続行で新雪の滑走訓練を行なうも,昨日の2つの事故が尾を引いて,後ろ髪を引かれるようだった。(結局その日も先輩方はビバークを続け,救助されたのは18日。また同期の足のけがは「半月板損傷,内側副靱帯断裂,前&後十字靱帯損傷」という重いもので,1ヶ月の入院,6か月以上のリハビリとなってしまい,TYGからの中退を余儀なくされた。また別の同期1人もこの2つの事故が原因かどうか解らないがこの講習をもって中退した。)

 

●2019年3月9日~10日

第3回実技講習「鍋倉山雪洞」

さすがにこれだけのことがあると,山スキー自体に真剣に取り組まねばなるまいと,まずは,弱点になりそうなシールの改良として,ダメもとでクラリーデン用アクリルテープを購入。重ね貼りをしてみたら,明らかに粘着力が上がった。そして雪洞山行の1週前に所属会で嬬恋から四阿山までのテント泊の山行があったため,あえて一人,山スキーのシール登りコソ練で本番に備えた。準備の甲斐あって,鍋倉山への登りに関しては何も問題もなくシールでガンガン登る。雪洞は会の別の山行でも作っており,今季2度目。快晴の中雪洞をガシガシ掘る。が奥側に1m程掘り進むと,氷層が現れスノーソーでも歯が立たなくなってきた。こうなると効率を考え奥を捨て(機能性は失われるが)横に拡張した方が早い。と安きに流れていたら,隣の雪洞を掘っていたB講師が突然現れ,「こう掘るんですね~♪」と人間削岩機のようにシャベルに体重を入れ,あっという間に雪洞を奥側に拡張していった。翌朝,下山。コース外の長い滑走は今回が初めて。傾斜のきついところもあったが,何とかヨロヨロと下降はでき,少しだけコソ練の効果を実感できた。

 

●2019年4月6日~7日

第4回実技講習「白馬振子沢~蓮華温泉 卒業山行」

山スキー学校には,スキーの世界からと雪山登山の世界から来るものと2通りいるらしい。自分は スキーはド下手くそなので紛れもなく後者なのだが,それゆえに地図読みもGPSも得手な方である。今回は2班に分け,事前学習で地図にコースを描いてから,それを当日山スキーでトレースするとのこと。自分と同じ班には他会所属の経験豊かな女性2人だった。横浜の貸会議室でキッチリ予習をし,準備万端。前夜の栂池高原スキー場の駐車場脇の宿舎に入るとA講師が待っていた。「ホットワクシングやってみる?」とみるとアイロンや滑走ワックス。生まれて初めてワクシングを体験した。翌朝またもやピーカン。栂池のゴンドラ,ロープウェイを乗継ぎ,自然園でシール装着ビーコンチェックの後3人で登り始める。天狗原まで足が揃いグイグイ登ると,途中で講師からもう1班と離れ過ぎとストップがかかる。その待ちの間にクトー装着。強風の天狗原にあっけなく登りきる。振子沢に入る前にピットチェックを行なう予定だったが,カチカチのバーンで掘るのも一苦労な感じなうえに強風が容赦なく吹き付けCPを断念。滑り始める…ってここを降りるんですか…とジリジリと斜滑降で高度を下ろし,意を決して滑り始める…が転びそうな上に雪面は固く重くで苦労しながら何とか降り切った。傾斜がきつく厳しかったのはこの部分だけで,振子沢に入ると楽しい林間コースが待っていた。乗鞍沢の橋を越えると蓮華温泉ロッジに到着。今日の行程はこれで終わるが,山スキーでの露天風呂までの移動が待っている。雪倉岳~赤男山に見守られながら,男性陣は仙気ノ湯で,女性陣は薬師湯でビール片手に温泉で一汗を流した。

翌朝,前日来るときには何でもなかった乗鞍沢への橋手前の斜面が非常に怖く体が固まった。やっとの思いで越えると今日のツアースキーの始まりである。少し下降し,シールをつけヤッホー平から栂平,そして角小屋峠への急登を淡々と登る。今年は登る上ではとても雪質が良かったらしく,それほど苦労せず峠まで上がれた。シールを脱ぎ木地屋までの長いツアーが待っているが,重い雪にも慣れ,景色や風を感じながらピーカンのなだらかな斜面や林道を滑る。気がつけば眼下に木地屋の集落が見え,あっけなく実技講習は終わった。

 

卒業後,自分は東北の栗駒山と北アの乗鞍岳の2回春スキーを楽しんだ。いずれもピーカンで,登り最高,下りヘナヘナという3,4回の実技講習の時とシチュエーションが変わらない。講師から贈られた修了証書には「…様々な雪質での滑降技術を身につけ…」の言葉が踊っている。そうだ!もっとスキーそのものもうまくなれば,もっと面白い世界が待っているのだろう。三浦雄一郎からスキーが上手いと称賛された岡本太郎だってスキーを始めたのは46歳だ。50歳からでもその気があれば上積みはきっとある。その気にさせてくれたTYGに感謝である。

 

 
自分でプランニングして山スキーをする 印刷 Eメール

◆講習生 3

 

●TYGふたたび……

私は山スキーを始めて2シーズン目にTYG(東京山スキー学校)13期(2015-2016)を受講しましたが、2月に街で怪我をして途中リタイアを余儀なくされました。受講資格は翌14期まで継続していましたが、自分の中でのモチベーションが続かず再受講は見送りました。その後所属している町田グラウスの先輩たちに助けられて、シーズン10回弱の山スキー山行を重ね、徐々に山スキーの面白さや怖さがわかるようになってきました。

2018年4月に、山スキーを始めた時からの憧れだった八甲田山に、女性の先輩と2人で行くことができました。念願かなった喜びと同時に「(連れて行ってもらうのではなく)自分でプランニングして山スキーをする」という新しい課題が生まれたことを強く感じました。そして、この課題を意識したときに、自分の大きな「わすれもの」であるTYGを再受講しようという気持ちが生まれました。また、所属している会の外で学んでみることで見えてくるものが多いのではないかという期待もありました。ただ、4年間のうちに自分の年齢が上がってしまい、自分の仕事も(人手不足のため?)忙しさを増していので、体力と時間に不安を抱きつつの入学でした。

12月初旬の開校式。今回の受講生は8人。山の会に属さない方が2名、太田山の会から3名、グラウスから3名でした。太田では山スキーをする会員が少なくなり、こうした機会に学ぶしかないとのことでした。毎年先輩たちと山スキーに行っていた私は、『他会はそのような状況なんだ』と少し驚きました。

 

●雪と雪崩の勉強(第1回机上・第1回実技)

この机上と実技は13期で経験していましたが、この間、那須の高校生遭難という大きな事件があり、受講した理論も実技も深さが増したことを感じました。ビーコンのグループチェックの新しい方法をはじめ、講習内容も未経験のことが多かったです。

12月の飯田橋机上講習の後、テキストと後日提出するべき課題(問題用紙)が渡され、これはボリュームがありとても苦戦しましたが、おかげでとても実になったと思います。

実技でもっとも印象的だったのは、初日に谷川の天神尾根で行った雪質観察です。全員で高さ1.5m幅10m弱の雪の壁を掘り出し、その後、この1.5mの層の雪の固さ、結晶の形、温度、密度等を詳しく観察しました。この観察には1時間ほどかかり、晴天でしたが尾根は風があり指先までジンジン冷えてきました。こうした大規模かつ精密な観察はこの機会でなければ不可能だろうと思いながら、足踏みしながらメモを取り続けました。

また、2日目は雪崩救助犬のデモがありました。これもこうした機会でなければ見ることができないものです。3頭の犬の捜索の巧拙も興味部深かったですが、見ている私は『実際には救助ではなく遺体捜索なんだなあ』と思い、決して雪崩に遭うまいと思いました。

悔しかったのは天神尾根からの滑走がぼろぼろだったことです。私にとっては雪がふかふか(パウダー&深い)すぎて腰が引けて転びまくり、最後の下山コースはももがパンパンでハの字で下りました。

あ、それ以前に大失敗しました。スキーウェアの「下半身セット」を忘れて、レンタルさせていただいたことです。数日前から少しずつパッキングするのは時間がない私には適した方法ですが、やっぱり直前に計画書で再チェックしなければ……。

 

●吹雪と深雪・事故と救援(第2回実技)

2回目は神楽が峰での基礎滑走講習でした。厳冬期とあって積雪量も気象条件も厳しい中(途中から吹雪)、初日はゲレンデトップから神楽が峰までラッセル、シール登高、キックターンの練習をしました。今シーズン私が一番上達したと思うのは、この時丁寧に教えていただいた山回りキックターンです。この講習の後、緩い斜面でもキックターンをするようにし続け、5月のグラウスの山行では「超開脚&ちょこっと手も使うターン」なるものを編み出し、急斜面を乗り切りました(笑)

雪質チェックのCTテストをし、下山(滑走)開始の直後事故が起こりました。この時のレスキューの緊迫度は忘れられません。また、私はA講師とともにゲレンデ経由で宿に戻りましたが、じゃんじゃん雪が降ってゲレンデに戻るまでの視界も明瞭ではなく、天候による行動の困難さを感じました。

あの事故について感じるのは、気象条件によってレスキューの困難さが激変するということです。スキー橇も背負って降りるのも、雪が締まっていて晴れていたらできたかもしれませんが、あの条件では難しかったです。現場に残って救援を待った方たちは、過酷な条件での貴重な体験をされわけで、そこから身につけたことを私たちも学びたいと思います。

翌日は、雪が降る中、ゲレンデで、横滑り、木の葉落とし、ギルランデなどの山で役立つ滑走法を繰り返し練習し、その後非圧雪の深雪を滑る練習をしました。この時は体調が良かったこともあり、積極的にチャレンジして滑ることができたと思います。深雪は気持ちが負けてしまうと滑れないので、メンタルがとても大事だと感じました。

 

●雪洞訓練(第3回実技)

山スキー学校に入校した当初から最も期待と不安が大きかった講習です。「雪洞」そのものが未体験だったこと、そもそも泊まりの荷物を背負って山を滑り降りることができるのか(滑れなければ帰れない)ということが大きな不安でした。

当日は二日間とも天候に恵まれ、初日は3時間ほどのハイクアップで稜線の雪洞設営予定地に到着。雪の量も十分。ところが連日の晴天で雪が予想よりも締まって硬かったため、スコップどころかスノーソーも入らず、なにをどうしても掘り進めませんでした。1月に雪崩のトレーニングでベルトコンベアーで掘った時とは大違いです。さらに氷板の層が見えた時にはかなり絶望的になりました。4時間格闘して何とか掘ることができました。私は「排雪係」に徹しましたが途中から腰が痛かったです。さて、掘る苦労に比べ、雪洞内の生活は快適で楽しかったです。テントより広いし、静か。壁を削ると水を作ったり、燭台や小物置きまで作れるので、DIY好きの私は時間があればもっともっと部屋を飾りたかったほどです。B・C両講師の食事も美味。寒さもそれほどでなくダウンを着込んでスリーシーズンのシュラフで眠ることができました。翌朝、起きると青空が目に染みました。

さて、空身で鍋倉山山頂を往復した後、いよいよ荷物を背負って滑走です。私はギリギリまで荷物を減らしたので、他のメンバーに比べるとずっと軽かったはずですが、最初のターンでは腰が引けて崩れるように転びました。でも、一度転んだらコツが少しわかり、そこから先は怖がらずに降りることができました。鍋倉山は4回ほど来たことがあり、いつも後半は雪が重く感じられて疲れてしまっていたのですが、今回は先生方がコースを選んでくださったおかげもあり、もちろんパウダーを楽しみながらなんて無理でしたが、最後まで余裕を持って滑ることができました。

 

●受講生だけのコース判断(第4回実技)

卒業山行は栂池スキー場~天狗原~蓮華温泉~木地屋の1泊2日のクラッシックな春のツアーコース。5年前にガイドツアーで同じコースの経験があったので、体力・技術的な不安はあまり感じませんでしたが、問題は何と言ってもルーファイ。晴れていればともかく、天候が悪い場合でも原則GPSは使わずに行動するという目標を示されたからです。いままでも山行前には1/25000地図にルートと標高を入れ、必ず予習して山にはいっていましたが、正直なところ「本当に地図だけで大丈夫かなあ」と思っていました。横浜でミーティングしたときに、Dさんが精密な地図を用意し、チェックポイントも考えてくださったので、とても安心したのを覚えています

一日目、風はあったものの視界がありルートは大丈夫そうでした。ただ、天狗原の強風はやはりいつも通り。止まってピットを掘ることが必要かつ有効なのか、しないという判断もあるのではないかということで、そのまま滑降することにしました。地形や天候を見定めて臨機応変に行動することの大切さを知ったと思います。また、蓮華温泉前の沢状地形では、どの沢にいるのかわからなくなってしまいGPSを取り出しました。

無事に蓮華温泉に到着し、やや疲れて「外湯はパス」と思ったのですが、EさんとFさんが誘ってくれ、4人で露天風呂にシールで歩いていきました。お風呂も気持ちよかったし、帰りにスキーを履いて滑ってくるというのも素敵な体験で、春の蓮華温泉の楽しさを満喫しました。

二日目も天候に恵まれ、峠を越えて木地屋までのコースを不安なく行くことができ、無事に卒業山行を終了しました。

 

●得たものは多く

講師の先生方、講習生のみなさん、本当にありがとうございました。4年越しの大きな「わすれもの」だったTYGの講習を終えることができて、感無量です。グラウスでの講習・山行では身に付けることができない知識や技術がたくさんありましたし、仲間と協力して山行を成功させるという体験もさせていただきました。

今後は、ここで学んだことを生かして「自分で計画して仲間とともに山スキーに行く」山行を重ねていきたいと思っています。

また、自分の所属している山の会の外で学び、山行することはとても有効なことだと実感しました。どのような組織でも、その中に浸かっていると見えなくなってしまうこと、解決法が見つからなくなってしまうことがあります。私もグラウス4年目の昨年ごろから、そうした「出口のない壁」のようなものに囲まれてしまって悩むことが多かったのですが、今回グラウス外の方と山行することによって吹っ切れたことが多かったです。またグラウスの仲間である富永さんと鈴木さんのたくさんの素晴らしい面を再発見し、頼れる山スキー仲間として再認識できたことも本当にうれしいことでした。

来年もこのメンバーで和田小屋と蓮華温泉には必ずご一緒したいですし、それ以外にも山行を計画して実現したいと思います。みなさんどうぞよろしくお願いします。

 
私がどんな山行にも必携している大き目ツェルトの出番が来た 印刷 Eメール

◆講習生 4

山スキーをはじめてから経歴だけは14年になろうとしている。もともと山岳会で岩・沢・雪山とオールラウンドにたのしむ一環としてはじめた山スキーは,転勤で山岳会から抜けていた時にも細々と続けていた唯一のジャンルであった。

とはいえはじめた時のままのスタイルで最近の進歩についていけてないのでは,またいつの間にか我流になったりおろそかになってしまった技術がないか,あらためて点検したいという動機で,本講習に参加することにした。

今回の講習では,なかなか得難い体験ができた。雪洞掘りではこれまで遭遇したことがない硬い氷の層に苦戦した。体全体を押し込んで掘り進む重機のような講師陣を見て「この程度の硬さは力づくでなんとかなるのか」と素直に感動していた。また雪山をはじめた時から使っていたビーコンがいつの間にかポンコツになっており,受信距離が正しく表示されていないことが分かったのも良かった。だが一番心に残りまた考えさせられたのは,参加者が滑走中に脚の筋肉を傷め滑走不能になった事故のことである。

まず自力搬送は,講師の一人が負傷者を背負って搬送しようとしたが雪質と地形上の困難からあきらめ,半雪洞ぽく雪面を整え負傷者を保温しながら救助隊を待つことになった。半雪洞では保温のために負傷者に身を寄せながら数人のメンバーがうずくまり,覆いとしてツェルトを2枚使った。私がどんな山行にも必携している大き目ツェルトの出番が来た。

それから携帯電話でスキー場・警察・消防に救助・搬送を要請した。所在位置を知らせるには携帯電話のGPSが役に立った。とはいえスキー場は別件の負傷者搬送でソリが出払っているなどで,搬送準備はすぐにできるものではないようだった。またそれぞれの要請先は連携して動くわけではなく,要請者が統制本部のようにそれぞれの要請先と連絡をとらなくてはならないというのも知った。

そのまま時間だけが過ぎていき,とうとう警察からは当日中に搬送できない場合にビバークできる準備があるかどうかを打診してきた。食料・飲み物はあるが寝袋・火器はなく,そのままの姿で寒い夜を耐え忍ぶ可能性も出てきたが,結局はスキー場がソリを出してくれることになり,搬送することができた。

私が考えたのは,結果的にソリで運んだことから自力搬送の選択肢はあり得たかということだが,スキー板でソリを組むには装備が足りなかったようだ。山スキー事故での搬送について会でも話題にしてみたが,「ソリはつくるのも大変でツェルトで巻いて搬送するのがいいのでは」あるいは「自力で搬送手段をつくっても雪面を運んでいくのが大変で,スキー場備付のソリは硬くて運びやすくできている」など意見が出た。だから自力搬送をあきらめ救助を待ったのは良かったのかもしれない。ただ自分としても搬送法を習熟しておきながら,判断として救助を待つということにしておきたいと思った。

またなんとか当日中の搬送ができた理由として,携帯電話が通じたこともあると思う。携帯電話が通じない場合は救助隊の待機場所まで分遣隊を出すことになるが,今回でもアマ無線機がパーティ内での連絡に非常に役立っていたことから,連絡手段としてアマ無線機の携帯はもっと見直されてもよいと思った。

本稿では事故対応の件にしぼって書いたが,雪質と気象についての知見を学んだことや,コンプレッションテストやビーコンチェック・掘り出し作業の手順を確認できたことなど本講習で得たことは多く,参加して本当に良かった。また受講メンバーが実に気分よく,「こういう人たちとこれからも山スキーをやっていきたい」と思える出会いだった。惜しいのは夏の交通事故で傷めた左足が治りきらず,満足な滑走ができなかったことだ。筋肉の治癒がこんなにも時間がかかるものだとは思わなかったよ,とほほ…。山行と同じくらい車にも気をつけないと。

 

 
やっぱり受講して良かった!とにかく楽しかった! 印刷 Eメール

◆講習生 5

 

まったくスキーができない自分が山スキーを始めて3年目…

会の講習や先輩方に教わってりしてはいたものの、スキーはおろか雪山のこともあまり知らない。

いろいろ思う事もあり、何かないか?と考えていた。

信頼する会の先輩が講師を努めていることもあり、この山スキー学校へ行くことに決めた。

 

結果…

やっぱり受講して良かった!!

 

とにかく楽しかった!

新しい仲間もできたし、講習のおかげで今まで以上に山スキーに集中できたと思う。

 

講習中は仲間の怪我やOBの遭難などに遭遇し、改めて自分が危険な遊びをしていることを実感。

訓練の重要性や、この経験を通して、どのような訓練がじゃあ自分には足りないか、必要か?などを真剣に考えるようにもなった。まだ始まったばかりの山スキー人生の中で貴重な経験ができたと思う。一通りの講習を修了し、卒業したものの、まだスタート地点にたったばかり。

 

山スキー学校での経験を生かして、これからもたくさん考え、たくさん楽しみながら滑っていきたい。

講師のみなさん、同期のみなさんありがとうございました。

スキーの練習がんばります。

 
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