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◆受講生 Cさん◆

 

山スキーには、雪山登山とスキーの両方の知識と経験が必要ですが、私はこれまでほとんど登山の経験がなく、スキー好きが高じて山スキーの門戸をたたいた山のビギナーでした。受講生のバックグラウンドはばらばらでしたが、山岳会に所属していたり、登山の経験をお持ちの方が多かったので、皆には当たり前の知識が私にとっては新鮮な新しい知識でした。

この講習会で学んだこと

 

      • 雪と雪崩の知識(発生のメカニズム、雪崩地形など)、気象図、地形図の読み方
      1. 雪崩対策(滑降前のテスト方法(CTテストなど)、ビーコン操作、捜索訓練、救出後の処置、など)
      2. 山スキーの技術(シールをつけての登り方、キックターン、斜滑降、ギルランデ、深雪滑走、樹林帯滑走、など)
      3. 雪洞でのビバーク
      4. 山行計画の立て方
      5. 山の装備と道具のいろいろな使い方(紐をシール代わりにするなど)
      6.  
      7. 私の場合は、地形図の読み方ひとつとっても、25,000分の1の地形図をはじめて手にとり、磁北線と言われても何のことやら分からず、何度か教えていただいてやっとなんとか理解できたというように、上記の一つ一つについてゼロから学びました。こういったことは、机上で学ぶだけではなく実践で使わないと身につかないものですが、まず机上で講習を受けたあと、実技講習のなかで何度も実践しましたので、卒業山行を終えた今は、「山スキーを計画し、安全に帰ってくる」という一連の行動の中でどのようにこの知識を役立てるのかということも含め、まだ浅い知識ではありますが、理解できたと思います。
      8.  

一回目の栂池での講習では、机上講習で習った雪崩に関する知識を確認し、雪崩の対策の実地訓練をしました。ビーコンの使い方や捜索訓練を一日かけて行い、翌日はCTテスト、雪の観察、プローブの使い方、救出後の処置などを習いました。CTテストなどは、この日一日では全く頭にはいらず覚えられないのではないかと不安になったものですが、以降毎回毎回講習でやっているうちに、だんだん手際もよくなりました。ただ滑っても大丈夫かという判断は、本当に斜面の状況やその時の雪の状況によって異なりますので、非常に難しく経験が必要であると思います。

 

二回目の神楽みつまたでの深雪講習では、山スキーの技術(シールをつけての登り方、キックターン、斜滑降、ギルランデなど)を習ったうえで、実際に神楽峰~中尾根、神楽峰手前~田代、という山スキーツアーを行いました。その中で、地図を見る、CTテストを行う、雪崩地形を観察するなど、座学と一回目の講習の中で習ったことを再度やりましたので、忘れていることや覚え切れなかったことがフォローされました。

この時、湯沢エリアは大変な豪雪に見舞われ、湯沢周辺でも二階の窓の高さまで雪が積もっているような状況で、雪崩のリスクは高い状況だったと思います。我々が滑った中尾根でもスキーカットによる小規模な雪崩が発生し、目の前で雪崩を目撃するという経験をしました。雪崩はめったに起こらないものと思っていたので、この時の経験でより雪崩対策に対する真剣度が増しました。

 

三回目の講習は鍋倉山での雪洞です。この日も当日までかなりの積雪があり、登りの途中でまたも雪崩を目撃しました。ポン、と遠くで音がし、少しすると我々が歩いている一つ先の沢沿いにさーっと雪が流れてきました。それで学校側が鍋倉山の上まで登るのは雪崩リスクが高いという判断をし、都立大小屋から3キロ位の地点で雪洞を掘って泊まることとなりました。

雪洞を掘る場所を決めるのは結構判断が難しいと思いますが(木がでてこないか、十分な奥行きがとれるか、とか)、場所が決まれば雪洞作りは楽しいものでした、といっても男性陣が頑張って掘ってくれたので私は雪を捨てる程度でしたが。ブロックにして掘り出す、下に向かって掘って最後ブロックで入り口を小さくする、あまり横に広く掘らない、天井を丸くする、などの雪洞作りのポイントも学ぶことができました。またマット、冬用寝袋、使い捨てカイロ、像足などで完全防備をしたので、寝ている間はほとんど寒さは感じず、朝目覚めた時は暑いくらいでした。

この鍋倉山行は、心配事が二つありました。一つ目は、閉所恐怖症気味なこと。雪洞で寝ることができなかったらどうしよう、というものでした。掘り始めの小さな穴の中に入ったのですが、恐怖感で30秒も我慢できず、その時は、「今晩ここで寝られるかしら、もしダメなら一晩中起きて外に居ないといけないのかな」と不安がよぎりましたが、完成した雪洞は思いのほか広く、また夕食を食べたりお酒を飲んだりしているうちに、慣れてきて何とか克服することができました。二つ目は長い登り。私は山スキーでの登りが苦手で、息が切れてゆっくりとしか登れず、いつもチームの足を引っ張っていたという状況でしたので、大きな荷物を背負って、今までになく長い距離を登るというので、行く前はかなりプレッシャーを感じておりました。なので、このとき山頂まで行かずに雪洞を掘ったのは、滑りが全然楽しめなかったは残念ですが、私にとっては不幸中の幸いでした。

 

最後は蓮華温泉での卒業山行。雪、風、寒さで大変厳しい条件でした。鍋倉の時と同様に体力が心配だったのに、なんと!まさかの忘れ物!大事なシールを忘れてしまいました。急遽6mmロープをスキー板に巻きつけ(亀甲結びというらしい)てもらいました。これが滑り止めの機能はシールと遜色ないものでしたが、精神的なショックが大きく、また吹雪いて視界が悪く恐怖感もあったので、「とても蓮華温泉までたどり着けない、帰った方がいいのではないか」と出発の時点で暗澹たる気持ちに。結局、何とか登りきり無事蓮華温泉にたどり着く事ができましたが、皆さんの励ましとチームに迷惑を掛けてはいけないという気持ちとがなかったら、帰っていたかもしれません。蓮華温泉での宴会では、感謝と達成感と酔いで涙が止まりませんでした。

翌日の下山も、大変な積雪だったので下り斜面でパウダーを満喫できたのは良かったのですが、平らなところやトラバースのところは、ラッセルしないと進めない状況でした。私はものの数分で息があがり交代、という感じでまったく役に立たなかったのですが、先頭を行く男性陣、講師の方々のパワフルなことには、本当に驚嘆いたしました。有難うございました。

 

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卒業山行の前に、オプションで実施された神楽みつまたでの深雪滑走訓練にも参加しました。一日目はリフトを使い、ゲレンデ内の樹林帯を滑りまくり、2日目は短めの山スキーツアー(反射板コース)をしましたが、じっくり滑る練習ができて大変よかったです。夜は深雪滑走についてのDVDを観たのも、普段何も考えずに滑っているので、大変参考になりました。

最後に、TYGに参加させていただき、私としては「ガイドツアーでなく、知識を得て自分で山スキーに行けるようになりたい」という当初の目標を達成するための基礎ができたと思っており、感謝しております。学校の雰囲気は非常にオープンでフレンドリーですので楽しかったです。受講生も意欲の高い方が多く刺激を受けましたし、またなにより、これから一緒に山スキーにいける仲間ができたことは大きな成果だったと思います。講師陣は皆さん個性的で、山に対する哲学も方法論も異なったものをお持ちですので、色々なお話を伺うのは大変楽しいものでした。これから、自立した山スキーヤーを目指して経験をつんでいきたいと思っておりますので、今後もご教示の程よろしくお願いいたします!

以上、長くなりましたが、未来の受講生(特に山の初心者の方)の参考になればと思います。